代謝を落とさずに痩せる究極のダイエット法
ダイエットを成功させるためには、食欲と代謝を整えることが大前提になります。
そして、食欲がコントロールできて代謝も高まった後は、減量に入ります。ここで、やっと減量のスタート地点に立ったことになるのです。もちろん、この時点までに体重が落ちる人もいますが、しっかり食べているので増える人もいますし、変わらない人もいます。
また、体重を落とすためには、運動よりも食事制限が効率的です。ほとんどの場合は、食事制限だけで減量は上手くいきます。
そうはいっても、「ただ食べる量を減らせばいいのか?」というと、そうではありません。一般的に行われているようなカロリー制限をするとリバウンドしますし、代謝が落ちて痩せにくくなります。
そこで今回は、代謝を落とさずに減量していく方法について詳しく解説していきます。
目次
代謝を落とさずカロリー制限する「間欠的ファスティング」
ここまで述べたように、減量するときには、以下の点を考慮しなければいけません。
- 体重を落とすためには「摂取カロリー - 消費カロリー < 0」を作る必要がある
- 「摂取カロリー - 消費カロリー < 0」を作るためには、運動よりも食事制限が圧倒的に効率的である
- やみくもに食事制限(カロリー制限)を続けていると、代謝が落ちて食欲が増しリバウンドする
以上の3点を見て「じゃあ結局どうすればいいの?」「やっぱり運動で地道にやっていくしかないの?」と感じたかもしれません。
しかし実際には、体に負担をかけることなく減量するためには、やはり食事制限が有効になります。運動は、カロリー消費やストレスケアの効果が期待できますが、あくまでダイエットの中心になってはいけません。
毎日の食事を見直すことが長期的な効果を生み出だします。運動のメリットは明らかですが、食事を見直すことなく、激しい運動だけをして痩せるのは無謀です。
そして、ダイエットにおいて食事制限をする上で大切にしたいポイントを押さえておくことが、減量成功へのカギとなります。
減量時の食事制限で大切にしたいポイントは以下の2点です。
・「摂取カロリー - 消費カロリー < 0」を作る
・代謝や食欲が乱れない(代謝が下がらず、反動による食べ過ぎも起こらない)
もうお分かりと思いますが、「食べる量を減らしつつも、代謝と食欲を乱さない食事法」が必要となります。
そして、カロリー制限をして「摂取カロリー - 消費カロリー < 0」を作りつつ、代謝と食欲を乱さない食事法として有効なのが「間欠的ファスティング」です。
間欠的ファスティングとは?
間欠的ファスティングとは、その名の通り「間欠的」に「ファスティング(断食)」する方法です。
一般的に、ファスティングというと「3日間断食」「1週間断食」など、数日以上に渡って食べない方法が指導されます。それに対して間欠的ファスティングは、短時間かつ断続的に断食する時間を作っていくことになります。
例えば、週に3日間ファスティングする日を作るとします。このとき、連続的にならないように、ファスティングする日を「火水木」や「月水金」などと設定します。
こうして断続的に食べない日を作ると、連続的にカロリー制限をしているときのように代謝は落ちません。断続的にすることで、体がカロリー不足の状態に慣れない(代謝が落ちない)のです。
1日ファスティングをして、細胞が「あれ?栄養が入ってこないぞ…エネルギーが入ってこないから少し代謝を落とさないといけないかな…」となっても、翌日は普通に食べるので「あぁー良かった、普通に活動しても大丈夫だ」となるのです。
簡単にいうと、細胞を騙しながら食事量を減らしていきます。
無理なくファスティングを継続するのであれば、ファスティングの時間は16~24時間にすると良いです。朝食を抜くとだいたい16時間ファスティングになりますし、朝昼を抜くと24時間ファスティングになります。
これくらいの時間であれば、大半の人はトラブルを起こすことなく実践できます。ただ、体調がすぐれない場合は控えましょう。また持病のある方は、医師に相談の上、行うようにしてください。
*何かしらの理由で血糖値のコントロールが悪くなっている人は1食抜きの、16時間ファスティングから始めることをおススメします。
「週3回の16時間ファスティングであれば1週間に3食(1食×3日)、週3回の24時間ファスティングであれば1週間に6食(2食×3日)抜く」というイメージになります。
このように、間欠的ファスティングとは、短時間のファスティングを間欠的に行う食事法です。
間欠的ファスティングに期待される効果
一般的には、間欠的ファスティングに期待される効果としては「インスリン抵抗性の改善」が挙げられます。
インスリンとは、膵臓で作られる血糖値を下げる働きをもつホルモンです。インスリン抵抗性とは、膵臓でインスリンが作られているにも関わらず、上手く働かないような状態をいいます。
そしてインスリンには、血糖値を下げるだけではなく「体に脂肪を溜め込ませる」という働きがあります。つまり、インスリンがたくさん作られるほど、太りやすく痩せにくくなるのです。
インスリン抵抗性が増すと、体内にインスリンがあふれるようになります。インスリンが働かず血糖値が下がらないため、体が「もっとインスリンを作って血糖値を下げろ!」という指令を出すのです。
その結果、「インスリン抵抗性の増大 → 大量のインスリン → 太りやすく痩せにくい」となります。
間欠的ファスティングには、インスリン抵抗性を改善し、この流れを断ち切って痩せる効果が期待されています。
ただ、極度の肥満が多い欧米と違って「日本人にはインスリン抵抗性が問題となっている人は少ない」というのが、私の考えです。もちろん、2型糖尿病を患っているなど、インスリン抵抗性が問題となっている人もいます。
ただ、日本人でダイエットをしたいと考えている人の大半は、そもそもそこまで太っていません。
しかし、それでも間欠的ファスティングをすると体重は落ちます。これは、カロリー制限による効果だと考えています。
ファスティングをする日は、1~2食を抜くのでカロリー制限になっています。1食400キロカロリーと考えると、2食抜きの日は800キロカロリーの制限をしていることになります。
これを週3回実施すれば、1週間で2,400キロカロリー、1ヶ月で約9,600キロカロリーのマイナスになります。脂肪1キロ当たりが約7,000キロカロリーなので、単純計算でも約1キロちょっとの減量が達成できることになるのです。
「これだけ頑張って1キロしか減らないの?」と考えるかもしれません。しかし、現実はこれくらいが普通です。これ以上のハイペースで減量するのであれば、無理をしないといけませんし、もし体重が落ちても脂肪というよりは筋肉や水分による減量が大きいと考えてください。
そして、一般的なカロリー制限との違いは、毎日ではなく、1週間や1ヶ月単位でカロリーを抑えていくということになります。
もちろん、肥満期間が長い人や肥満度が高い人には、インスリン抵抗性を改善する効果も期待できるでしょう。しかし実際のところ、日本人で間欠的ファスティングをして減量に成功しているほとんどの場合、カロリー制限による効果だと考えられます。
間欠的ファスティングの実践法
それでは、間欠的ファスティングのやり方について詳しく説明します。
間欠的ファスティングのやり方は、あなたの生活スタイルに合わせて決めてください。ある程度いい加減にやっても問題ないのが、間欠的ファスティングの良いところでもあります。
例えば、ファスティングをする日は、週に2 日でも3 日でもかまいません。また、ファスティングする時間は16時間(朝食抜き)でも、24時間(2食抜き)でも問題ありません。食事を抜くタイミングも、朝昼でも昼夜でも良いです。
もちろん、人によって体重が落ちやすいタイミングはあります。
例えば、「朝昼のファスティングをしても体重が落ちなかったのに、夜朝のファスティングに変えると体重が落ち始めた」という人もいます。
ただ、こればかりは実際にやってみないとわかりません。そのため、最初はあなたがやりやすいタイミングで、計画を立てて実践すると良いです。
そうはいっても、ベースがないと間欠的ファスティングを始めにくいと思いますので、私がベースとして指導しているタイムスケジュールを載せておきます。
月水金:朝昼2食抜き
火木土日:3食食べる
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
朝 | × | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ |
昼 | × | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ |
夜 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
このようにベースを決めておいて、「急に友人とランチが入った」「忙しくて食べられなかった」などの予定外は、全く気にする必要はありません。もちろん、週に何回も予定外が起こるのであれば、計画を変えた方が良いですが、週1回程度の予定外であれば問題ないです。
例えば、私のお客様の声を借りると「今日は急に予定が入ったのでファス止めまーす」「ファス予定だったけど、○○が食べたくなったので今日は食べます」など、とても柔軟に対応して実施されています。
結局、ダイエットは継続することが大切ですし、最終的に自己管理しなければいけません。そのため、「週3回、朝昼は絶対ファスティングしないといけない」というように、ガチガチに固めてしまっては、短期的には良くても長期的には上手くいかないのです。
また、ファスティング中は、基本的に固形物やプロテインなどの栄養(炭水化物やタンパク質、脂質)が入っているものはなしにし、ノンカロリーの飲み物だけにします。
ただ、私はカロリーを減らすことが目的であれば、プロテインなどは問題ないと考えています。水分は、食事を抜いている分、普段以上(+0.5~1リットル)に意識して摂らなければいけませんが、砂糖や人口甘味料などが入っている飲み物は避けてください。
間欠的ファスティング時の注意点
正直、16時間のファスティング(朝食抜き)を週2~3回程度であれば、ほとんど人は問題なく実施できます。ただ、24時間ファスティングとなると、上手くいかない人もいます。
間欠的ファスティングをするときの注意点を一言でいうと「無理をしない」ということです。
例えば、「朝昼を抜くと夕方に頭痛や脱力感、冷汗などが出るけど、痩せたいから我慢する」などは、絶対に行ってはいけません。その症状は、低血糖を起こしているサインです。
そんなに無理をしても体重は減りませんし、ましてや体を壊すことになりかねません。
また、「ファスティングをすると食欲が異常に強くなって、食べ物のことばかりを考えてしまう」という状態も好ましくありません。反動で夜の過食につながる可能性が高くなってしまいます。
こうした場合は、まずは「昼食を抜くことを止めて、朝だけファスティングする」というようにしましょう。
そもそも、24時間ファスティングをすると過食をしてしまったり、毎回低血糖が起こったりするような状態は、減量に入れる段階ではないです。食欲コントロールと代謝が整っていないと考えてください。
そのため、「食欲と代謝が整ったと思って減量に入ったけど上手くいかない」というのであれば、あせらずにもう一度食欲と代謝を整えることに力を注ぐようにしましょう。
他にも、間欠的ファスティング中に起こりやすい問題と対策について以下に記します。
・間欠的ファスティングダイエット中の注意点
起こりやすい問題 | 解消法 |
・脱水
・頭痛 ・めまい、吐き気 ・筋肉の痙攣 ・便秘 ・糖尿病の人における低血糖 |
ファスティング中は水分を意識して摂取する
塩分不足と脱水を防ぐ 脱水を防ぐ マグネシウム不足を防ぐ 食物繊維不足を防ぐ 医師の管理下で実施する |
また、以下に記す条件に当てはまるのであれば、ファスティングは実施しないか、慎重に行うようにしてください。
間欠的ファスティングを避けるべき人 | 慎重に間欠的ファスティングをすべき人 |
・栄養失調、低体重の人
・18歳未満の人 ・妊婦の人 ・授乳中の人 |
・痛風の人
・糖尿病の人 ・胃食道逆流症の人 ・薬、サプリメントを飲んでいる人 |
間欠的ファスティングで体重が落ちないときに何を考えどう行動するか?
食欲と代謝が整った状態で間欠的ファスティングをすれば、ほぼ確実に体重は減ります。当然、無理な食事制限や運動をやらなければ急激な減量は難しく、頑張っても1ヶ月で2~3キロ程度の変化が限界です。私の理想は、1ヶ月に1~2キロだと考えています。
ただ中には、間欠的ファスティングしても全く体重が変わらない人もいます。そうした場合は、他に痩せない要因を考えなければいけません。
間欠的ファスティングしても思ったより効果が出ないときには、「睡眠不足」「ストレス」「運動不足」の3点を疑います。これらの問題がある場合、自律神経やホルモンの影響で痩せにくい状態となっている可能性があります。
例えば、睡眠不足やストレスは、脂肪の分解を妨げるストレスホルモンを増やします。睡眠不足やストレスで食欲が乱れていなくても、ホルモンバランスが崩れて痩せにくくなるのです。
また、運動不足も自律神経やホルモンのバランスを崩して、脂肪を燃えにくくします。
「1日2000歩程度しか歩かない」「土日は家でダラダラしている」「階段を上るのが辛い」という状況であれば、運動不足が影響している可能性が高いです。
もちろん、「ファスティングをしていたつもりが、食べ過ぎていた」という場合もあります。ですので、ファスティングしても体重が減らないときには、一度食事量を計算することも大切です。
もし間欠的ファスティングで体重が減らないときには、焦らずに痩せない原因を冷静に考えるようにしてください。
減量初期で体重の落ち方に個人差がある理由
減量を始めたとき、同じ方法でダイエットしているのに、体重の落ち方は人によって大きく異なります。
例えば、最初の1ヶ月で6キロ落ちる人もいれば、1~2キロしか落ちない人もいます。
あなたも、「あの人はあんなに体重が落ちているのに、なぜ私は同じ方法でこれだけしか落ちてないの?」と感じたことはないでしょうか。
この違いは何なのでしょうか?
もちろん、もともとの体重や運動量など、体重の減り方にはさまざまな要因が関与しています。ただ、減量に入って最初の1ヶ月における体重の減り方に大きく関与しているのは、「水分」です。
食事制限をすると、体内に無駄に溜まっていた水分が一気に抜けます。これにはさまざまな要因が関与していますが、インスリンが少なくなることが一番影響していると考えられます。
インスリンには、尿の排出を抑える働きがあります。そのため、インスリンがたくさん作られていると、その分だけ体に水分がたまりやすくなるのです。その一方で、間欠的ファスティングをすると、体内で作られるインスリンの量は少なくなります。その結果、尿量が増えて体内の水分が抜けて体重が一気に落ちるのです。
つまり、ダイエット初期における体重減少の個人差は、もともと溜め込んでいた水分量が大きく関係しています。
簡単にいうと
もともと水分を溜め込んでいる人→初期の体重減少が著しい
もともと水分を溜め込んでいない人→初期の体重減少が緩やか
と考えると良いです。
ここで言いたいのは、どちらが良い悪いではなく、体重の落ち方に個人差があるのは当然で、周りを見て焦る必要はないということです。
糖質制限をすると一気に体重が落ちる理由
インスリンが少なくなると体内の無駄な水分が抜けて、一気に体重が落ちます。インスリンを出しにくくする方法としては、ファスティングだけではなく「糖質制限」が挙げられます。
糖質制限とは、炭水化物(糖質+食物繊維)のうち、糖質の摂取量を減らす食事法です。
例えば、小麦粉や砂糖などの甘いお菓子類を食べないのはもちろんのこと、主食も抜きます。また、厳密にやるのであれば、ニンジンや大根などの根菜類も食べないようにします。
糖質を多く含む食品を食べると、インスリンがたくさん作られます。糖質を摂取すると血糖値が上がるため、血糖値を下げようとインスリンが作られるのです。そのため、糖質制限をすると、血糖値が上がらなくなり、インスリンが作られる量は少なくなります。
そうなると、尿量が増えて体内の水分が一気に減るため、体重も落ちます。
さらに、糖質制限をすると、体に蓄えられている糖分もなくなるため、その分の体重も軽くなるのです。
糖分は、体内において「グリコーゲン」と呼ばれる形で、主に筋肉と肝臓に蓄えられています。エネルギーが必要なときに、すぐにエネルギー源として使えるようになっているのです。
糖質制限をすると、食事から糖質を摂らなくなるのでグリコーゲンの量が激減します。
グリコーゲンはたくさんの水分と一緒に蓄えられています。グリコーゲン自体の重さは全身で約400gですが、グリコーゲンにはその3倍の1.2キロの水分がくっついているのです。そのため、糖質制限をしてグリコーゲンがなくなると、それだけで2キロ近くも体重が落ちます。
インスリンが減って尿として排泄される水分とあわせると、3キロ前後体重が一気に減ることになるのです。
糖質制限をすると1週間などの短期間で3キロ前後減量する人が多いですが、その大半は水分だということを理解しておきましょう。
まとめ
今回述べたように、食欲や代謝が整った後は、代謝を落とさないように食事制限をして体重を落としていきます。
その一つの方法として、「間欠的ファスティング」は、個々人に合ったやり方で実施でき、危険性が少ないため、おススメです。
そうは言っても、間欠的ファスティングをしても体重が落ちないことはあります。そうしたときに、「もっと間欠的ファスティングを強くしよう」と考えるのではなく、他の要因を考えるなど、冷静に取り組んでいくようにしましょう。