代謝を劇的に上げて痩せやすくなる方法

ダイエットを成功させるためには、食欲のコントロールが必須になります。

*痩せるために食欲コントロールが大切である理由

それでは、食欲が落ち着いた後は何をすればいいのでしょうか? 次に行うべきことは、代謝を高めることになります。

長年ダイエットをしていると、無理な食事制限で代謝が落ちてしまっている可能性が高いです。代謝が落ちた状態で食事制限を頑張っても、思うように痩せません。そのため、減量する大前提として、代謝を高めて(戻して)おかなければいけないのです。

そこで今回は、「代謝を上げる方法」について解説します。

代謝とは何か?

代謝とはよく聞く言葉ではありますが、曖昧にしか認識していない人が多いのではないでしょうか?

代謝は「新陳代謝」とも呼ばれるものです。簡単にいうと「体内において物質の形が変わる」ことを指し、「食べ物や体に蓄積されている脂肪を分解したり、食べ物を元に筋肉を作ったりする過程」のことです。

食べ物や脂肪などを分解することを「異化(いか)」、食べ物から筋肉などを作り出すことを「同化(どうか)」といいます。物質を異化と同化という視点で考えることを「物質代謝」といいます。

あなたが想像しているとおり、ダイエットで脂肪が落ちるのは異化によるものです。異化によって脂肪が分解されると、体重が落ちます。「代謝が高いと痩せやすい」というのは、言い換えると「異化が強くなっている」ということになります。

また、こうした物質の代謝(異化や同化)を「エネルギーの出入り」という視点で考えることを「エネルギー代謝」といいます。

一般的に知られている「カロリー」はエネルギーの単位になります。「運動でカロリーを消費する」とは、「脂肪を分解すること(異化)でエネルギーを作り出し、体を動かすことでそのエネルギーを使う」という意味です。

脂肪は、エネルギーと水、二酸化炭素に分解されます。エネルギーは体を動かしたり、熱を作ったりすることに使われ、水と二酸化炭素は呼吸などによって排出されます。

この異化を表す代謝(消費カロリー)は、主に「基礎代謝量」「生活活動代謝」「DIT(食事誘導性熱産生)」の3つに分類されます。

基礎代謝量:食後12時間経過していて、身体的にも精神的にもリラックスした状態で横たわっているときに消費されるエネルギー量

生活活動代謝:日常生活の活動(運動など)によって消費されるエネルギー量

DIT:食べることに関連して消費されるエネルギー量。

総エネルギー消費量全体の60%が基礎代謝、30%が生活活動代謝、10%がDITになります。ダイエット中に「筋肉をつけなさい」といわれるのは、筋肉が増えると、エネルギー消費量の60%を占める基礎代謝量が上がると考えられているためです。

このように、一般的にダイエットで使われる代謝とは、異化のことを指します。

なぜダイエットをすると代謝が落ちるのか?

カロリー制限などのダイエットをすると、代謝が落ちます。カロリー制限をしてリバウンドすると痩せにくくなるのを感じた人も多いのではないでしょうか? それは、カロリー制限によって代謝が下がってしまったために生じることなのです。

それでは、なぜカロリー制限をすると代謝が落ちるのでしょうか?

カロリー制限とは、簡単にいうと「食べる量を減らす食事法」になります。基本的に、体重の増減は、摂取カロリーと消費カロリーによって決まります。

一般的には、以下に記す式が成り立ちます。

  • 摂取カロリー - 消費カロリー > 0 (食べる量が増える、運動量が減る)→ 太る
  • 摂取カロリー - 消費カロリー < 0 (食べる量を減らす、運動量を増やす)→ 痩せる
  • 摂取カロリー - 消費カロリー = 0 → 変動なし

カロリー制限は、食べる量を減らすことで痩せるダイエット方法です。確かに、食事量を少なくすれば、体重が落ちます。

例えば、普通に生活しているときのカロリー消費量(基礎代謝量 + 生活活動代謝 + DIT)が2000キロカロリーだったと仮定します。そうなると、食べる量(摂取カロリー)が2000キロカロリーだと体重は変わりません(上式の③)。

その一方で、カロリー制限をして摂取カロリーを1500キロカロリーまで減らすと、「1500(摂取カロリー) - 2000(消費カロリー) = -500 < 0(カロリー不足の状態)」となり、1日に-500キロカロリー分だけ体重は減ります(上式の②)。

これだけを見ると、ずっとカロリー制限をして摂取カロリーを1500キロカロリーに抑えていれば、どんどん痩せていくように思えます。しかし実際には、そう簡単には痩せ続けないのです。

カロリー制限をしてカロリー不足になると、体を動かすためのエネルギーが足りない状況になります。既に述べたように、人間にとってエネルギー不足は危機的な状態です。エネルギー不足になると、その危機的な状態を解消するために食欲が増すことも先に述べました。

さらに、食べてエネルギー不足を解消しようとするだけでなく、代謝を落とすことでもエネルギー不足を逃れようとするのです。

カロリー制限を開始してすぐであれば、「摂取カロリー - 消費カロリー < 0」のようになります。

しかし、カロリー制限を続けると、体はエネルギー不足を解消するために、食欲を増進させることで摂取カロリーを増やします。同時に、代謝を下げて消費カロリーを減らすことで、「 摂取カロリー - 消費カロリー= 0(エネルギーが不足していない状態)」としようとするのです。

こうして食欲と代謝が調整されると、エネルギー不足は解消されます。ただ、体重は減らなくなります。

このように、カロリー制限をして食べる量を減らせば、摂取カロリー量の減少に合わせて代謝も落ちてしまうのです。これが、ダイエットで代謝が落ちるメカニズムになります。

食事制限をしていると、我慢の限界がきて食べ過ぎてしまうことや、どんどん痩せにくくなってしまう理由が理解できたのではないかと思います。

筋トレだけでは代謝は上がらない

ダイエットでは、「カロリー制限などの食事制限をして体重が落ちると筋肉量も減る」「体重が減っても筋肉が落ちると、代謝が悪くなってリバウンドしやすくなるから、筋肉が落ちないように筋トレをしないといけない」と言われます。

一見すると、正論のように感じるかもしれません。しかし実際には、痩せてリバウンドしないために筋トレは必須ではないのです。

例えば、ダイエット中に代謝が落ちるのは、間違った食事によってエネルギー不足となることが原因です。決して、筋トレをしなかったからではありません。そのため、エネルギー不足を解消しなければ、代謝は戻りません。

想像してみるとわかると思いますが、筋トレはエネルギー不足を助長させます。十分な食事も摂らずに一生懸命筋トレしても、代謝が上がることがないのは当然ではないでしょうか?

しかも、食事制限によって筋肉を作るための栄養が不足していては、筋トレの効果が十分に得られないのも想像つくはずです。

また、痩せると、体重が落ちた分だけ必要な筋肉は減るため、筋肉が減って代謝が落ちるのは当たり前です。ただ、食欲が整った状態で、なおかつ無理な食事制限で痩せたのでなければ、落ちた代謝に合わせて食欲も減りますし、必要以上に代謝も下がらないため、リバウンドしません。

代謝を上げるには食べるしかない

ダイエットで落ちてしまった代謝を上げるためには「食事量を増やして細胞に十分なエネルギーを満たしてやる」という以外、方法はないと考えています。

短期的であれば、食事制限をした状態であっても、筋トレによって代謝が高まるかもしれません。ただ、長期的に考えると、筋トレだけに依存した代謝アップは現実的ではありません。

例えば、パーソナルトレーニングジムに2ヶ月通って、一生懸命筋トレをして筋肉が増えたとします。このときは、確かに一時的に筋肉が増えて代謝も上がります。ただ当たり前ですが、筋トレを止めるとパーソナルトレーニングでつけた筋肉は落ちます。

体にとって、生活上で必要ない筋肉は重いだけで、無駄にエネルギーを消費するため要らないのです。

つまり、頑張って付けた筋肉は、同じ努力を続けないと落ちてしまいます。当然、筋肉が落ちれば代謝も元に戻るのです。

これは代謝を上げるために筋トレだけに頼るべきでない理由の一例ですが、とにかく、落ちた代謝は日常生活で続けられることで上げなければいけません。

大きい車(筋肉)に乗り換えても、ガソリン(細胞が活動するエネルギーの元となる栄養素)が足りていないのであれば、車はすぐにガス欠を起こしてしまうのと同じです。

また、代謝が落ちる原因は、筋トレを止めたからではないのは明らかです。普通の人は、筋トレなどしなくても代謝は落ちません。代謝が落ちる主な原因は、食事にあります。

こうしたことを考えると、代謝を上げるのは食事しかないのです。

代謝を高める食事法

それでは、代謝を上げるためにはどのような食事をすればいいのでしょうか?

これは難しく考える必要はありません。とにかく、「栄養がある食品を優先して食べれば良い」のです。

代謝を上げるためには、細胞が活発に働けるようにすることが重要になります。つまり、細胞に十分な栄養が行き届く食事をすることが大切です。

そのため、エネルギー源となる三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質と、エネルギーを作るサポートをするビタミン、ミネラルが豊富な食品を食べることが必要不可欠になります。

三大栄養素とビタミン、ミネラルをしっかり摂れば、カロリー不足にはなりませんし、食べた食事から十分なエネルギーが作られるため、エネルギーも満たされます。

例えば、食品は加工するほど、ビタミンやミネラルが少なくなります。ビタミンやミネラル不足を防ぐためには、できるだけ加工度の低い食品を選んで食べることが大切です。

他にも、低カロリーや低糖質商品には、三大栄養素が十分に入っていません。カロリーや糖質量を減らすために、人工甘味料などの食品添加物がたくさん使われているためです。

そのため、低カロリーや低糖質商品よりも、普通の商品の方が代謝を高めることになります。

他にも以下に記す点を意識すれば、代謝は高まりやすくなります。

・年齢や性別、身長、体重、活動量に見合ったカロリー量を摂取する

・極端な食事制限をしない(主食を全く食べない、極端に脂肪を減らすなど)

・規則正しく食事を食べる(1日3食食べる)

・よく噛んで食べる

・朝食でタンパク質をしっかり摂る

・お腹が空いたときは、お菓子ではなく、おにぎりや肉、卵などの栄養価の高いものを食べる

こうしたことを意識するだけでも、代謝は高くなります。

当然ですが、これまで無理な食事制限で代謝が落ちてしまっている人は、体重が増える可能性が高いです。ただ、一度食事を戻して代謝をリセットしなければ、これからもずっと少ない食事量で我慢し続けなければ、今の体重は維持できません。しかも、今以上に痩せたいのであれば、さらに食事量を減らさなければいけないのです。

そうなってしまうと、もっと痩せにくくなる悪循環に陥ってしまいます。そのため、これまで無理なダイエットを続けたことで痩せにくくなっているのであれば、数キロの増量は覚悟して食べる量を増やすようにしましょう。

食べて太るのが怖いのはわかりますが、必ず上げ止まりがきますので、そこまで辛抱することが大切です。

パーソナルトレーニングはダイエットではない

近年では、大手パーソナルトレーニングジムの影響もあり「ダイエット = パーソナルトレーニングジム」というイメージが強く根付いています。確かに、パーソナルトレーニングに通えば高確率で痩せます。しかし、同じくらいの確率でリバウンドするのです。

はっきり言って、ほとんどのパーソナルトレーニングはダイエットのために通うところではありません。パーソナルトレーニングジムは「ボディメイク」をするところです。

既に述べたように、体重と体脂肪を減らすためには運動ではなく食事が大切になります。食欲をコントロールした上で、食事制限によって体重を落としていくのです。言ってしまえば、痩せるためには食事だけで十分なのです。

また、パーソナルトレーニングジムでは厳しい食事制限と筋トレによるボディメイクを同時に開始します。いきなり食事制限と運動を始めると、心身への負担が大きくなって、辛くて継続できないケースも少なくありません。

しかも、ほとんどのパーソナルトレーニングジムは、食欲のコントロールを無視して食事制限をします。

もちろん、食事制限と運動を組み合わせれば、その分だけ体重の減りは早くなります。

しかし、ただでさえ厳しい食事制限をしている上にハードな筋トレとなると、耐えられなくなるのは当たり前です。もし耐えられたとしても、3ヶ月前後が良いところでしょう。

これが、スポーツ選手なら話は別です。普段からハードな運動をしている人であれば、食事制限とトレーニングを平行して行えるでしょう。ただ、一般の方でダイエットを始める場合には、それらを同時に行うのは、あまりにも負担が大きすぎます

実際に、ほとんどの人は、痩せた達成感やトレーナーの監視が無くなった開放感から、トレーニング期間が終了したら、反動で食べ過ぎます。当然、好きなように食べ、運動も止めれば、みるみるうちにリバウンドするのです。

このように、パーソナルトレーニングはダイエットというよりも、ボディメイクを目的に行うものなのです。

まとめ

今回述べたように、ダイエットで落ちた代謝を上げるためには、運動の前に食事を改善することが大切です。

筋肉量を増やせば代謝が高まることは間違いないですが、食事を整えることなく筋トレしても無駄ですので、まずは食事を見直すようにしましょう。