食欲を劇的に落ち着かせる4ステップ

食欲を乱す原因は、主に「食事」「睡眠」「ストレス」「腸内環境」「習慣」の5つにあります。

*5つの原因については、「食欲コントロールを乱す5つの原因」を参考にしてください。

ダイエットをしているのに食欲が乱れている人の多くは、食事や睡眠、ストレス、腸内環境に問題があります。ただ、中には長年の習慣で食べ過ぎてしまっている人もいます。

「お昼ご飯をしっかり食べても15時には必ずおやつを食べてしまう」

「夕食後についついデザートを食べてしまう」

「買い物に行くとお菓子を買ってしまう」

「お腹がパンパンになるまで食べてしまう」

という状態であれば、食べ過ぎが習慣化している可能性があります。

習慣は、そもそも気づかない人がほとんどですし、気づいても修正するのが難しいです。

そこで今回は、「習慣化した間食や食べ過ぎを変える4つのステップ」をお伝えします。

食べてしまう習慣に気づく

「無駄に間食してしまう」「必要以上に食べ過ぎてしまう」という好ましくない習慣を変えるためには、まずは、無意識にやっている行動(習慣)に気づくことが大切になります。

習慣化してしまっていることに気づかなければ、習慣を変えることはできません。

ポイントとしては、「何がきっかけでその習慣が起こっているのか?」を把握することが、習慣による食べ過ぎを防ぐ第一歩になります。

例えば、「夕食の後にデザートを毎日食べている」「外食後にアイスを食べている」「仕事帰りに買い物をした後に買い過ぎてしまう」「朝昼はそうでもないけど、夕食で食べ過ぎてしまう」など、あなたが間食や食べ過ぎてしまうのは、どんなタイミングなのかを炙り出します。

そのためにも、まずは食べた物を記録することから始めてみましょう。

既に述べたように、習慣は無意識下で起こっているため、意識に上げることが大切です。食べた物を書き出して「見える化」することで、無意識の行動に気づけるようになります。

このように、食べ過ぎてしまう習慣を「見える化」し、無意識の行動に気づくことが、習慣を変える第一歩となるのです。

食べてしまう習慣を変える

ただ、気づいてもなかなか変えられないのが習慣です。長年続けてきた行為は、頑張って修正しようとしても、簡単には変わりません。

そこで、ちょっとした心理テクニックが、習慣を変えることに役立ちます。

1.違う行為に置き換える

まず、食べるという行為を、違う行為に置き換えてみましょう

例えば、夕食後に食べてしまうのであれば「夕食後にスクワットをする」などです。

「夕食(状況)→食べる」という習慣を、「夕食→運動」に置き換えると、それだけで夕食後に食べるという習慣を変えることになります。

他にも、夕食後にお菓子を食べてしまうのであれば、代わりにガムを噛むというのも良いでしょう。「夕食→お菓子」という習慣を、「夕食→ガム」に置き換えることで、体に悪いお菓子を避けられるようになります。

*ガムが体に良いと言っているわけではありません

このように、悪い習慣を別の良い行為に置き換えることは、習慣を変えるために誰でも実践できる手軽な方法です。

2.食べ物を隠す

人には「目につくと食べたくなる」という性質があります。そのため、食べ物を見えないように隠すと、それだけで食べる習慣を変えることができます

例えば、テーブルの上にお菓子を置いているのであれば「布をかける」、キッチンの見えるところに食べ物があるなら「棚の中にしまっておく」など、とにかく食べ物が目に入らないようにするだけで良いです。

他にも、職場でお土産などをもらったときには、机の上に置いておくのではなく、引き出しやバックの中にしまうだけでも効果があります。

ついつい食べてしまうのであれば、とにかく食べ物を視界から消すようにしてみてください。

3.間食する場所に鏡を置く

人には「誰かに見られていると悪いことができない」という性質があります。

そのことを活かして、間食をする習慣がある場所に鏡を置くことで、自分の視線によって間食をストップさせることができます

また、好きなアイドルなどの写真を貼れるのであれば、さらに効果は高いです。好きな人に監視されている気持ちになるため、「間食する」というダメな行為をしている自分を見られるのが嫌で、食べなくなります。

精神的にあまり追い込む必要はありませんが、小さな鏡でも良いので、インテリアの一つとして習慣が起こる場所(テレビの前やキッチンなど)に鏡を置くと、無駄な間食を減らすことができるはずです。

4.10分我慢のルールを作る

人は「絶対食べない」と考えると、逆にその食べ物のことが頭から離れなくなり、我慢できなくなります。その結果、食べてしまうだけでなく、「自分はなんて意思が弱いんだ…」と罪悪感を抱いてしまいます。

そのため、禁止するのではなく、「間食したくなったときは10分だけ我慢して、それでも食べたかったら食べる」というルールを決めておくと良いでしょう。

10分であれば負担にもなりませんし、10分もすると食欲は自然と落ち着いてくるものです。また、もし食べてしまったとしても、「10分経ったら食べて良い」というルールがありますし、「10分我慢した」という自分を褒めれば、食べたことに罪悪感を抱くこともありません。

そして、もし10分我慢することが習慣化できれば、次は「20分我慢する」というようにステップアップしていけば、自然と間食は減ってきます。

いつも食欲と闘って負けてしまうのであれば、このように最初からルール化しておくと良いでしょう。

5.食べる場所を決めて集中して食べる

10分ルールと同じように、食べる場所を決めておくことも有効です。特に、「夕飯の支度をしながら」「片づけをしながら」「ソファーの上でテレビを見ながら」など、複数の場所で「ながら食べ」の習慣があるなら、食べる場所を限定しておきましょう。

例えば、「食事も間食もリビングのテーブルだけでしか食べない」と決めると良いです。

どうしても片付け中に食べたくなったときには、リビングのテーブルまで移動して食べるようにします。もちろん、わざわざリビングに移動して食べてしまうかもしれません。しかし、ほとんどの場合、移動するのが面倒になって食べる回数が減ってきます

こうして、食べる場所を固定することも、無駄な間食や食べ過ぎるという習慣を変えることに有効です。

6.楽しみな予定について考える

食べるかどうか悩んだときに、「楽しみな予定について考える」という行為が、食欲を落ち着かせます。

未来について考えることが、「食べたら後悔するから食べない」と決断する脳の部分(前頭葉)を活性化して、理性的な判断を下すことにつながるのです。

こうした未来について考えることを「エピソード的未来志向」といいます。

例えば、「長期休暇に予定している旅行」や「金曜日にある友達との飲み会」「週末の料理教室」など、楽しみにしていることについて考えていると、それだけで「太るからやっぱり食べないでおこう」となるのです。

もし、「食べたいけど食べたら太る…でも食べたい」と悩んでしまったときには、エピソード的未来志向を試してみてください。

7.早く歯を磨く

夜にダラダラ食べてしまうのであれば、食後にできるだけ早く歯を磨くと良いでしょう。

歯を磨いておけば、「食べたらまた歯を磨かなければいけない」と考えて、無駄に食べなくなります。「もう歯を磨いた」という、食べられない理由を作っておくということです。

このように、事前に食べられない状況を作ることを「プリコミットメント(事前拘束)」といいます。他にも、「家族にお願いして食べ物をわからないところに隠してもらう」「夕食後に間食したら旦那に1,000円あげる」なども、プリコミットメントになります。

一番簡単なのは、できるだけ早く歯を磨くことですので、夜に食べてしまう習慣があるなら、ぜひ今日から実践してみてください。

8.余計なものは家に置かない

家に食べ物があると、隠しても、歯を磨いても、どうしても食べたくなることもあります。

そこで、「食べるハードルをさらに上げる」ために、余計なものは家に置かないようにします。

「どうしても食べたくなったときには、スーパーやコンビニへ買いに行く」というルールを決めておくのです。隠したものを出したり、もう一度歯を磨いたりするよりも、買い物に出かける方が面倒であるため、よほどでない限りは我慢できます。

そのためにも、「お腹が空いたときにあったら便利かも…」という安易な考えで、必要がないものを買って家に置かないようにしておきましょう。

このように、食べるという習慣を変えるためには、「食べるハードルを上げる」ということが有効です。

食べ過ぎの習慣を変える

また、中には「ついついたくさん食べ過ぎてしまう」という習慣に悩んでいる人もいるでしょう。

例えば、「普段は食べたくならないけど、食べ過ぎると止まらなくなる」「間食はそんなにしないけど、食事を食べ過ぎる」といった習慣です。

そうした習慣も、ちょっとしたことを意識するだけで、変えることができます。

1.大袋の商品は買わない

人は、パッケージが大きな商品ほど食べ過ぎてしまいます。

例えば、同じ量のチョコレートを食べるとしても、大きな袋に入っているものと小さな袋に入っている場合では、大きな袋に入っている方が食べる量が多くなります。お腹具合ではなく、見た目によって食べる量が決まるのです。

しかも、あまりに大きい商品であれば、結局食べきれずに捨ててしまう可能性が高いです。

そのため、最初からパッケージが大きな商品は買わないようにしましょう。もし節約のために大袋の商品を買うのであれば、すぐに小分けして保存すると良いでしょう。それだけでも、食べ過ぎを防ぐことにつながります。

また小分けにした物は、その日に食べる物以外は冷凍したり(食べるために解凍しなければいけないという障壁を作る)、床下にしまったり(目に見えないところに隠す)するなどの工夫をすると、チョコチョコ食べも防ぐことになります。

2.小さな器を使う

パッケージと同じように、食事を盛る皿も、大きなものではなく小さなものを利用するようにしましょう。

イメージするとわかると思いますが、同じ150gのご飯であっても、大きな器よりも小さな器に入れた方が、ご飯の量が多く見えます。そして実際に、小さな器に入っているときの方が、錯覚によって食べた後の満足感も高くなるのです。

こうしたことから、ご飯もおかずも、最初から小さな器に盛るようにしましょう。

3.大皿に盛らない

子供がいて家族が3人や4人になると「おかずを大皿に盛って、各自で取り分けて食べる」というスタイルになりがちです。

しかし、大皿から自分で取り分けると、「自分が何回お代わりしたか?」「どれくらいの量を食べたか?」がわからなくなってしまうため、気づかぬうちに食べ過ぎてしまいます。

もしあなたが、普段から大皿を使って取り分けているのであれば、昨日の夕食で何回お代わりし、どれくらいの量を食べたかを思い出せるでしょうか? おそらく、かなりあいまいな記憶しかないはずです。

こうした記憶の曖昧さによる食べ過ぎを防ぐためにも、おかずは最初からそれぞれの皿に決まった量を盛って出すようにしましょう。

4.粗食を心がける

人は、テーブルに出された食品の数が多くなるほど食べ過ぎてしまいます。

食べ物が何十種類も用意されている食べ放題やビュッフェに行くと食べ過ぎてしまうのは、想像できるのではないでしょうか?

通常、同じ味の物を食べていると、味によって満腹感を感じやすくなります。こうした味による満腹を「感覚特異性満腹(飽和)」といいます。簡単にいうと、同じ味の物ばかり食べると飽きてしまうということです。

その一方で、いろいろな種類の食品を食べていると、飽き(感覚特異性満腹)が起こりにくくなるため、満腹を感じにくくなるのです。その結果、食べ過ぎてしまいます。「デザートは別腹」も、食事とデザートの味の違いによって作られるものです。

そのため、基本的には粗食を心がけて、多くても3~4品くらいで抑えるようにしましょう。

食品の数が多いことは、栄養バランスの偏りを防ぐというメリットもありますが、食べ過ぎを招くというデメリットがあることも知っておいてください。

また、一品に複数の野菜や海藻類などを含んだ料理を作ることで、栄養バランスを維持することができます。

ちなみに、食べ放題やビュッフェでの食べ過ぎを防ぎたい場合は、最初から食べるものを3~4つ決めておいて、それだけを食べるようにすれば、感覚特異性満腹によって食べ過ぎを防ぐことにつながります。

5.三角食べをする

ダイエット中であれば、食べる順番を意識している人は多いと思います。

例えば、血糖値を上げないように「野菜や肉を全て食べてからご飯を食べる」といった工夫です。また、何かを意識しているわけではなくても、「味噌汁を全部食べておかず、おかずを全部食べてご飯」といったように、「一つの料理を済ませてから次の料理を食べる」という人もいるでしょう。

確かに、こうした食べ順を意識することには、多くのメリットがあります。ただ、ご飯やおかず、汁物を交互に食べる「三角食べ」の方が、食事による満足感は高くなります

人には「食器が空になるとお代わりをしたくなる」という心理が働きます。「一つのお皿を空にして次のお皿…」という食べ方をしていると、最初に空になったものをお代わりしたくなるのです。

そのため、三角食べをして、全ての食器に食べ物が残っている状態を維持しながら食べると、お代わりをしたい気持ちを弱めることができます。

一つ一つを食べて、ついついお代わりをしたくなるという状況であれば、三角食べをすることで、無駄なお代わりを減らすことができます。

良い習慣を身に付ける

ダイエットを成功させるためには、余計なものを食べたり、必要以上に食べ過ぎてしまったりする、いわゆる「悪い習慣」を断つためだけでなく、「良い習慣」を身に付けることも大切です。

例えば、運動や水を飲むことは、ダイエットのために習慣化すべきことだといえます。

そうはいっても、こうした行動を習慣化するのはなかなか難しいのが現実です。「三日坊主」という言葉があるように、新しいことを習慣化するのは簡単ではありません。

ただ、いくつかポイントを押さえておけば、新しい行動でも楽に習慣化できるようになります。以下に、新しい行動を習慣化するためのポイントを3つ紹介します。

1.新しい習慣は既存の習慣につなげる

新しい行動を習慣化したいときには、既に習慣化している行動の後につなげるようにしましょう。

例えば、朝に水を飲むことを習慣化したいと考えているとします。既にあなたが、朝起きて歯を磨くという習慣を身に付けているのであれば、「歯を磨いた後に水を飲む」といったように、「歯を磨く」という既存の習慣に「水を飲む」という新しい行動をつなげると、水を飲むことが習慣化しやすくなります。

また、「毎日スクワットを10回する」ということを習慣化したいのであれば、「歯を磨いた後にスクワットを10回する」と決めてやると良いでしょう。

さらにウォーキングを追加したい場合には、「歯磨き→スクワット→ウォーキング」というように、「歯磨き→スクワット」が習慣化した後に、ウォーキングをつなげていくと良いです。

このように、既存の習慣を上手く利用してつなげていくと、新しい行動は習慣化しやすくなります。

2.21日続けられる習慣を身に付ける

行動を習慣化していく上で大切なのは、毎日継続することです。また、行動は21日間続ければ習慣化するといわれています。

ポイントは毎日続けられる行動から始めることです。そのためには、特にダイエット初期には難易度が高いものは始めないようにしてください。

例えば、全く運動していない状態から、痩せるために「毎日1時間筋トレをする」「毎日1時間ウォーキングをする」といった行動を習慣化しようとしても無理です。必ず、途中で実施できない日が訪れて挫折します。

また、21日間で習慣化できるのは、こうした難易度が高い行動ではなく、「寝る前に水を飲む」「朝起きたらカーテンを開ける」といった、簡単な行動のみです。

1時間の筋トレやウォーキングといった行動は、もっと難易度が低い行動が習慣化した後に身に付けていくようにしましょう。

そのため、まずはちょっとしたことを習慣化していくことが大切ですので、「スクワットを5回する」「朝起きたら水を飲む」といった、簡単で21日間欠かさず続けられそうなことから始めるようにしてください。

こうした行動が21日間続いたら、次に「スクワットを20回にする」「ウォーキングを20分する」といったように、ステップアップしていくと良いです。

とにかく、最初はハードルが低く確実に21日続けられる行動を習慣化していきましょう。その積み重ねが、筋トレやウォーキングといった運動の習慣化につながるのです。

3.作業興奮を活用する

運動を習慣化していく中で、続けられなかったり、「止めようかな…」と思ったりすることもあるはずです。

そうしたときは、「作業興奮」という脳の特性を活かすと良いでしょう。

作業興奮とは、簡単にいうと、「やる気が起きないときでも、とりあえず体を動かせばモチベーションが上がってくる」といった現象です。

例えば、あなたが30分のウォーキングを習慣化したいと考えているにも関わらず、「今日は行きたくない」と思っています。そのときに、「痩せるために今日も30分歩かないと」と頑張ろうとしても、やる気は起きません。

そうではなく、「とりあえず歩く格好に着替えよう」「とりあえず準備体操だけでもしよう」と考えるのです。こうして行動のハードルを下げると、重い腰も持ち上がって「着替えるくらいなら」「準備体操くらいなら」となります。

そして、着替えたり準備体操をしたりすると、自然と「せっかくだから歩こうかな」とやる気が起きてくるのです。

もし運動を習慣化していく中で、モチベーションが上がらないときは、行動のハードルを下げて作業興奮を活用することで、続けていけるようになります。

まとめ

今回述べたように、ダイエットに良いことを習慣化するためには、「習慣に気づく」「食べてしまう習慣を変える」「食べ過ぎの習慣を変える」「良い習慣を身につける」という4ステップが大切になります。

もしあなたが習慣的に食べ過ぎてしまっているのであれば、ぜひ今回の記事を参考に習慣を変えてみてください。